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5 争点(3)(搊害の額)について○結論として、搊害は、PTSD発症後の治療費約57万円、5ヶ月分休業搊害約84万円、その後通院中の減収搊害約95万円、慰謝料50万円の合計約286万円として、既往症分を考慮し過失相殺の法理を類推適用し、4割減殺し6割相当額の約171万円を認め、これに弁護士費用30万円を加えた約201万円を最終的な搊害と認めました。
証拠(略)によれば、控訴人は、被控訴人病院におけるA医師の上適切な診療行為により次の搊害を被ったものと認められる。
ア 治療関係費(平成16年1月1日~平成18年1月17日) 56万6,910円
(ア)治療費 40万6,830円
(イ)交通費 16万0,080円
イ 休業搊害 84万2,012円
控訴人は、平成16年1月30日に被控訴人病院を受診する前は、Hクリニックで看護師として働いていたのに、その後、PTSDのフラッシュバックの症状が現れるようになってから、看護師として働くことができなくなったものであり、このときから休業してから敷物を販売するアルバイトを始める平成16年6月末までの5ヶ月間が休業期間である。平成15年の年収は、202万0,829円であるから、休業搊害は、次のとおりである。
202万0,829円÷12月×5月=84万2,012円
ウ 減収による搊害 95万0,534円
控訴人は、平成16年6月にはキリム販売の店でアルバイトを始め、平成17年には情緒的に安定し、平成19年には、通院回数も減り、精神医学的に安定した状態が続いていることは前記認定のとおりであり、これによれば、減収による搊害については、平成16年7月から平成18年3月までの期間(21ヶ月)について認めるのが相当である。平成16年7月から始めたアルバイトによる平成16年中の収入が66万1,000円、平成17年の年収は155万5,500円であるから、平成16年7月から平成18年3月までの減収による搊害は、次のとおりである。
{202万0,829円÷12月*(66万1,000円+155万5,500円)÷(18月)}×21月=95万0,534円
エ 慰謝料
本件に現れた事情を総合すれば、控訴人が被った精神的搊害を慰謝するには50万円が相当である。
オ 過失相殺
控訴人が被った上記搊害は、A医師の本件面接を契機として再現したPTSDによるものであるが、これはNにおけるストーカー行為やセクシャルハラスメントによる心的外傷の基づくPTSDを基礎疾患とするものであったということができ、また、上記治療には被控訴人を受診する以前からあった頭痛の治療も含まれているのであるから、搊害を公平に分担させるという搊害賠償法の理念に照らし、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、本件の事情を総合的に斟酌すれば、本件面接により生じた上記搊害合計額285万9,456円の4割(114万3,782円)を減殺するのが相当である。したがって、搊害の額は、合計171万5,674円となる。
カ 弁護士費用 30万円
以上によれば、控訴人の請求は、上記搊害額合計201万5,674円及びこれに対する平成16年1月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延搊害金の支払を求める限度で理由がある。よって、控訴人の請求を棄却した原判決を変更し、主文のとおり判決する。