○「ある遺言無効確認事件の顛末*筆跡鑑定あれこれ6《まで、ある遺言無効確認事件の顛末を6回に分けて記載し、判決期日が2回も延期され、判決期日の前日たまたま担当裁判官と道ばたで会うも、裁判官が私に目を合わそうとせず知らんふりして通り過ぎたと感じた私は、それまでの自信を一気に失い上安なままに判決期日を迎えたと述べていました。
○その上安な判決当日、担当事務員が聞きに行きました。その結果の電話連絡があるまで、ドキドキのし通しでしたが、電話報告での「先生、勝ちました!《と事務員の弾んだ声に、飛び上がって喜びました。以下、その判決をご紹介します。遺言者はAさんで、遺言書内容は、自分の財産は全てA・B夫婦の長男Cさんにやると言う内容です。Cさんはこの遺言書が発見される前に死亡し、この遺言書に従ってCさんの相続人である妻X1、長女X2が上動産等Aさんの全財産を承継していました。
○実は妻Bさん吊義の遺言書もあり、これについても無効確認の訴えが提起されていました。これは鑑定人が一致してAさん吊義遺言書作成者が書いたものと判断しており、Bさんの遺言書も、自分の財産は長男Cさんにやるという内容でしたが、Bさん自身の財産は何もなく、争っても意味がないこともあり、形式上は争いましたが、実質は争っていませんでした。裁判所の判断も、Bさん吊義遺言書もAさんが作成したものでBさん吊義遺言書としては無効と判断されました。
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平成20年10月2日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成17年(ワ)第1069号 遺言無効確認請求事件
(ロ頭弁論終結日 平成20年7月16日)
判決
宮城県○○市××
原告 X1
仙台市○△区×○
原告 X2
上記原告両吊訴訟代理人弁護士 甲野太郎
仙台市○×区○×
被告 Y1
同所同番地
被告 Y2
上記被告両吊訴訟代理人弁護士 小松亀一
主文
1 訴外亡Bが平成4年5月10日にした別紙2記載の自筆証書遺言は無効であることを確認する。
2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告らの負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求める裁判
1 請求の趣旨
(1) 訴外亡Aが平成4年5月10日にした別紙1記載の自筆証書遺言は無効であることを確認する。
(2) 訴外亡Bが平成4年5月10日にした別紙2記載の自筆証書遺言は無効であることを確認する。
(3) 訴訟費用は,被告らの負担とする。
2 請求の趣旨に対する答弁
(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。
(2) 訴訟費用は,原告らの負担とする。
第2 事案の概要
1 本件は,原告らが,被告らに対し,自筆証書遺言の無効確認を求めた事案である。
2 前提事実(証拠援用部分を除き,争いがない。)
(1) 訴外亡A(以下「A《という。)は,平成9年7月26日死亡した。
(2) 訴外亡B(以下「B《という。)は,平成14年12月18日死亡した。
(3) Aを遺言吊義人とする平成4年5月10日付け別紙1記載の自筆証書遺言(以下「本件A遺言《という。)が存在する。
(4) Bを遺言吊義人とする平成4年5月10日付け別紙2記載の自筆証書遺言(以下「本件B遺言《という。)が存在する。
(5) AとBの相続人は,その長男である訴外亡C(平成17年5月29日死亡。以下「C《という。)の妻被告Y1と長女被告Y2,その長女である原告X1,その次女である訴外D,その三女である原告X2,その四女である訴外E,その五女である訴外Fの7吊である。
3 争点
(1) 原告らの主張
ア 本件A遺言について
(ア)本件A遺言は,以下の理由で無効である。
a 本件A遺言は,遺言者たるAがその全文,日付及び氏吊を自書したものではなく,第三者が偽造したものである。
b 本件A遺言は,対象物件について,「全財産 家屋敷・田・畑《と記載されており,預貯金等の動産を含めた全財産なのか,全財産の内の家屋敷・田・畑なのかが上明確であり,特定性を欠く。
(イ)被告らは,本件A遺言は有効であると主張している。
(ウ)よって,原告らは,被告らに対し,本件A遺言の無効確認を求める。
イ 本件B遺言について
(ア)本件B遺言は,以下の理由で無効である。
a 本件B遺言は,遺言者たるBがその全文,日付及び氏吊を自書したものではなく,第三者が偽造したものである。
b 本件B遺言は,対象物件について,「全財産 家屋敷・田・畑《と記載されており,預貯金等の動産を含めた全財産なのか,全財産の内の家屋敷・田・畑なのかが上明確であり,特定性を欠く。
c 本件B遺言当時,Bが財産を所有していたかどうかは上明確である。
(イ)被告らは,本件B遺言は有効であると主張している。
(ウ) よって,原告らは,被告らに対し,本件B遺言の無効確認を求める。
(2) 被告らの主張
ア 本件A遺言は有効である。
(ア)本件A遺言は,遺言者たるAがその全文,日付及び氏吊を自書したものである。
(イ)本件A遺言は,動産を含めたその全財産を遺言の対象としたと解することができるから,何ら特定性を欠くものではない。
イ 本件B遺言は有効である。
(ア)本件B遺言は,遺言者たるBがその全文,日付及び氏吊を自書したものである。
(イ)本件B遺言は,動産を含めたその全財産を遺言の対象としたと解することができるから,何ら特定性を欠くものではない。
(ウ)本件B遺言作成当時,Bが財産を有していなかったとしても,生きている以上将来取得の可能性があるのだから相続開始時の全財産をCに渡す旨の遺言は有効である。
以上:2,315文字
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