認知者も認知無効の主張ができるとした最高裁判決紹介2
○A女さんは、B男さんと付き合って妊娠しましたが、BはAの妊娠を知ると、Aさんから離れて行き、出産する直前に行方上明となりました。Aさんに心を寄せていたC男さんが、Aさんに出産直後、結婚を申込み、AさんはCさんとの結婚届と同時に出生届もして、生まれたDさんは、戸籍上、A・Cさんの子となりました。
○その後、AさんとCさんは、徐々に上仲になり、結局、結婚5年後に離婚することになりました。Cさんは、Dさんとの父子関係についてDNA鑑定をして、99.999998%父子ではないとの鑑定を得ました。Cさんから、Dさんに対する認知を無効にして、CさんとDさんの父子関係を否認する法的手段を教えて下さいとの質問を受けました。
○先ずAさんとCさんは、婚姻届と同時にDさん出生届もだしましたが、婚姻届だけではDさんは、Cさんの嫡出子にはなりません。民法第772条2項で「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。《と規定されており、DさんはAさんとCさんの婚姻後200日を経過した後に生まれた子ではないからです。そこでCさんはAさんとの婚姻届の際に、同時に、Dさんを認知届をしたことで、CさんはDさんの父になりました。
○Cさんは、Aさんとの離婚に当たり、Dさんの認知を取り消したいと思いました。しかし、民法第785条で「認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。《とされています。しかし、民法第786条では「子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。《と規定されており、Dさんを認知したCさんは、この規定での「利害関係人《に当たるかどうかが問題になります。Cさんも「利害関係人《に当たれば「認知に対して反対の事実《即ち「認知無効《の主張ができるからです。
○この問題に対する回答が「認知者も認知無効の主張ができるとした最高裁判決紹介《で紹介した平成26年1月14日最高裁判決(裁時1595号1頁)です。この判決は、「認知者が,当該認知の効力について強い利害関係を有することは明らかであるし,認知者による血縁上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制限されると解することもできない。《、「認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができるというべきである。この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない。 《として、認知者がみずからした認知無効の主張を認めました。
○ですから、CさんはDさんを被告として、民法第786条の認知無効の訴えを提起して、その判決を得れば、判決に基づき、認知を無効とする戸籍訂正手続ができることになります。Cさんの認知が無効になれば、Aさんは真実の父親であるBさんに対しDさんを認知することを求め、もしBさんが認知を拒めば、Bさんを相手に強制認知の訴えを提起することが出来ます。
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