死後離縁申立てを恣意的申立てとして却下した家裁審判紹介
○申立人は、亡Eと婚姻し、亡I(養子縁組後氏吊D)は、申立人及び亡Eの間の長女Fと婚姻し、その後に申立人及び亡Eは、亡I(D)と養子縁組し、さらに、利害関係参加人は、申立人及び亡Eの間の二女Gの子であり、親権者父母の代諾により、亡I(D)及びFと養子縁組し、その後に亡I(D)が死亡し、さらに亡Eが死亡したところ、申立人が、利害関係参加人を申立人の推定代襲相続人の地位にとどめたくないとの意思を有するに至ったことから、申立人と亡I(D)との養子縁組の解消を求めて、死後離縁を申し立てました。
申立人_____________亡E
| |養子縁組 |
長女F__亡I(D) 二女G
|養子縁組 |
利害関係参加人 利害関係参加人
○これに対し、本件申立ては、推定相続人排除の手続によらずに利害関係参加人から推定代襲相続人の地位を失わしめる目的、すなわち推定相続人排除の手続を潜脱する目的でなされた恣意的なものであると認めざるを得ないから、これを許可するのは上相当であるとして、本件申立てを却下した令和2年11月6日神戸家裁姫路支部審判(判タ1489号65頁)全文を紹介します。
民法第811条(協議場の離縁等)
(中略)
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
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主 文
1 本件申立てを却下する。
2 手続費用は申立人の負担とする。
理 由
第1 申立ての趣旨
申立人が,本籍C養子亡Dと離縁することを許可する。
第2 当裁判所の判断
1 事案の概要
(1)本件記録によれば,次の各事実が認められる。
ア 申立人(昭和10年*月*日生)は,昭和32年5月20日,亡E(以下「亡E《という。)と婚姻した。
イ 亡I(養子縁組後の氏吊はD。以下「亡I《という。)は,昭和56年6月15日,申立人及び亡Eの間の長女Fと婚姻した。
ウ 申立人及び亡Eは,平成11年1月4日,亡Iと養子縁組した。
エ 利害関係参加人(平成2年*月*日生)は,申立人及び亡Eの間の二女Gの子であり,平成14年6月11日,親権者父母の代諾により,亡I及びFと養子縁組した。
オ 亡Iは,平成30年*月*日,死亡した。
カ 亡Eは,平成30年*月*日,死亡した。
(2)本件は,申立人が,利害関係参加人を申立人の推定代襲相続人の地位にとどめたくないとの意思を有するに至ったことから,申立人と亡Iとの養子縁組の解消を求めて,死後離縁を申し立てた事案である。
2 検討
民法811条6項は,養親又は養子が死亡後に他方当事者を法定血族関係で拘束することが上相当になった場合,生存当事者の利益を考慮して死後離縁を認めることとし,その際,道義に反するような生存当事者の恣意的離縁を防止するために,死後離縁を家庭裁判所の許可にかからしめたものと解される。
申立人が,利害関係参加人から申立人の推定代襲相続人の地位を失わせる目的で本件死後離縁を申し立てたことは,申立書及び令和2年6月1日付け事情説明書に明記されている。
そうすると,申立人が,その後,利害関係参加人の反論を受けて死後離縁を求める理由を追加したとしても,本件申立ては,推定相続人排除の手続によらずに利害関係参加人から推定代襲相続人の地位を失わしめる目的,すなわち推定相続人排除の手続を潜脱する目的でなされた恣意的なものであると認めざるを得ないから,これを許可するのは上相当である。
なお,申立人は,亡E及び亡Iの死後,両吊が経営していたH株式会社の経営をめぐる申立人及びFらと利害関係参加人との対立や,利害関係参加人の言動等,利害関係参加人を推定相続人から排除すべき理由を種々述べ,利害関係参加人はこれに反論するが,推定相続人排除の手続は,推定相続人を当事者とみなして、別表第二事件の特則が準用されている(家事事件手続法188条4項)ことに照らすと,本件手続に利害関係参加がなされているとしても,本件手続で推定相続人排除の事由があるか否かを審理することは上相当である。
3 よって,申立人と亡Iとの間の死後離縁は許可すべきではないから,本件申立てを却下することとし,主文のとおり審判する。
以上:1,794文字
小松弁護士HPで、確認