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令和7年現在キャリア46年の弁護士小松亀一の判例解説サイトです。

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貸借売買等《関係判例


         テントが借地借家法上の建物に該当するとした地裁判決紹介

○賃貸した物件が、借地借家法上の建物に該当するかどうか判断が必要な事案の相談を受けています。借地借家法上の建物該当性についての解説は、多湖・岩田・田村法律事務所HPの「借家の要件《に多数の判例を援用して詳しく解説されています。

○同サイトでは、借地借家法上の「建物《とは、土地に定着し、周壁、屋蓋を有し、住居、営業、物の貯蔵等の用に供することのできる永続性のある建造物をいい、その限界は、結局、社会通念、立法の趣旨等に照らして決められるべきであるとされ、建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分(他の物)と区画され、独占的排他的支配が可能な構造、規模を有するものと解説しています。

○援用判例の中で、テントについても、設置費用・設置期間・土地への固定方法によっては「土地に定着している《として、「建物《に該当するとした平成29年5月19日東京地裁判決(判時488号62頁、判タ209号133頁)がありましたので、関連部分を紹介します。

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3 争点
 本件の争点は,次のとおりである。
(1)本件テント倉庫は借地借家法上の建物といえるか

     (中略)

4 当事者の主張
(1)争点(1)(本件テント倉庫は借地借家法上の建物といえるか)について
ア 被告の主張
 本件テント倉庫は,その周囲に鉄筋コンクリート製の幅60センチメートルから1メートル,深さ60センチメートルから1メートルの基礎が設置され,その上部構造は平成14年国土交通省告示第667号「テント倉庫建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件《所定の構造であり,本件各土地に定着している。したがって,本件テント倉庫は,借地借家法上の建物である。

イ 原告の主張
 原告は,会計上,本件テント倉庫を償却財産である構築物として処理しており,本件テント倉庫に係る上動産取得税の紊付を求められたこともない。被告は,本件テント倉庫には基礎工事が施工されていると主張するが,被告が主張する工事は,本件テント倉庫自体の基礎ではなく,その重量により地面がへこむことを防止するためのものである。また,被告が指摘する技術的基準においては,軒の高さが5メートル以下であることが求められているが,本件テント倉庫の軒の高さは7メートルあり,本件テント倉庫は,被告が指摘する技術的基準を充足するものではない。したがって,本件テント倉庫は,借地借家法上の建物とはいえない。

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実


     (中略)

2 争点(1)(本件テント倉庫は借地借家法上の建物といえるか)について
 前記1(5)のとおり,本件テント倉庫(当初部分)は,軒高7メートル,間口28メートル,奥行き29.5メートル(面積約826平方メートル)の大きさであり,周囲に幅60センチメートルから1メートル,深さ60センチメートルから1メートルの鉄筋コンクリート製の基礎が設置され,そこに複数の鉄骨柱がアンカーボルトによって緊結され,これらの鉄骨柱をエステル防災防水帆布が覆っているという構造であり,本件テント倉庫(増設部分)は,面積約448平方メートルの大きさであり,本件テント倉庫(当初部分)と同様の構造である。

このように,本件テント倉庫は,鉄骨柱をエステル防災防水帆布が覆っているという簡易な構造ではあるものの,これが屋根及び外壁に相当する役割を果たしているということができるし,複数の鉄骨柱がアンカーボルトによって鉄筋コンクリート製の基礎に緊結されていることからすると,本件各土地に定着したものということができる。このことに,本件テント倉庫の建設費用が3500万円を超えるものであったこと(前記1(2)ウ及びク),本件テント倉庫(当初部分)が建設されてから14年以上経過した現在においても,本件テント倉庫はその効用が維持されていることを併せ考えると,本件テント倉庫は,借地借家法上の建物に該当するというべきである。

以上:1,669文字

   小松弁護士HPで、確認