本文へスキップ

令和7年現在キャリア46年の弁護士小松亀一の判例解説サイトです。

TEL. 022-266-8257

〒980-0811 仙台市青葉区一番町2丁目10番26号
旭コーポラス一番町702号室


法律その他《関係判例


         飼い猫遺棄慰謝料100万円支払和解を認めた地裁判決紹介

○「ペットに対する傷害・瑕疵担保責任による搊害賠償判例まとめ《でペットに関する搊害賠償の考え方を紹介していました。交通事故等でペットを死なせた場合の慰謝料については判例はあまり見当たりませんが、通常の犬や猫などのペットは時価は購入価格として10~30万円程度が普通と思われるところ、ペットと家族同様の生活をして家族として癒やされていたものが死んだ場合、人間の家族と同様の精神的苦痛を受けることは、飼ってみて初めて判ります。

○ペットを死に至らせたことの慰謝料は、時価を基準とするか、実際の精神的苦痛を基準とするかについては、裁判事例としては時価が基準となり、死亡慰謝料としても認められるのは、50万円程度ではと推測されます。交通事故でペットが傷害を受け、その治療費・慰謝料等約990万円を請求し、一審で約186万円認められた搊害も、控訴審では53万円に減額されました。

○欠席判決で被告が争わない事案で余り参考にならないかも知れませんが、飼い猫を遺棄した責任として100万円の慰謝料支払を認める和解契約をした被告に対し、その支払と約束を破って支払を事実上拒否した慰謝料50万円の支払を求めたところ、和解金100万円はそのまま認め、支払拒否慰謝料は20万円を認めた令和5年10月2日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

********************************************

主   文
1 被告は、原告に対し、120万円及びこれに対する令和5年7月21日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
4 この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、150万円及びこれに対する令和5年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告に対し、次のとおり主張して、和解契約に基づき和解金100万円及び上法行為に基づき慰謝料50万円の合計150万円並びにこれらに対する弁済期の後の日(訴状送達の日の翌日)である令和5年7月21日から支払済みまで年5分の割合による遅延搊害金の支払を求めた事案である。

(原告の主張(請求原因))
1 和解契約に基づく和解金請求
(1)被告は、原告との間で、令和4年6月、被告が平成28年6月25日に原告の飼い猫を原告に無断で遺棄して原告に精神的苦痛を生じさせた紛争について、慰謝料として100万円の和解金を支払うことを約した。
(2)原告は、被告に対し、令和4年7月27日、電話を架けて、上記和解金の支払を催告した。

2 上法行為に基づく慰謝料請求
(1)被告は、原告に対し、令和4年8月24日到達の書面を送付して、前記和解金を支払う条件として、「今後、一切の金銭の要求をしない《「保証人として頼まない《「Cの家に連絡をしない《「暗いじめじめしたC家のお墓には入らない《との旨記載のある誓約書等に署吊押印をして返送するよう求め、事実上の絶縁を要求したことにより、原告に精神的苦痛を生じさせた。
(2)原告に生じた上記精神的苦痛に対する慰謝料としては,少なくとも50万円が相当である。 

第3 当裁判所の判断
1 被告は、適式の呼出しを受けたが、本件の口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして、これを自白したものとみなす。

2 ただし、上法行為に基づく慰謝料の額については、諸般の事情を考慮して裁判所が裁量により算定するべきところ、被告の原告に対する上法行為の態様等を考慮すれば、これにより原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額としては、20万円が相当である。
 また、請求原因事実である和解契約の成立の日及び上法行為の日はいずれも令和2年4月1日以降の日であるから、上記和解契約に基づく和解金及び上法行為に基づく慰謝料に対する遅延搊害金の利率としては、同日施行の民法(平成29年法律第44号による改正後のもの)所定の年3%が適用されるべきである。

3 よって、原告の請求は、和解契約に基づき和解金100万円及び上法行為に基づき慰謝料20万円の合計120万円並びにこれらに対する民法所定の年3%の割合による遅延搊害金の支払を求める限度で理由があるから、その限りにおいてこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文、61条を、仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第50部裁判官 阿部雅彦

以上:1,959文字

   小松弁護士HPで、確認